ワイヤレス・リアルタイム振動計測システム「RSnetwork Series」:株式会社健診技術研究所(広島大学発ベンチャー)

大久保 孝昭 (株式会社健診技術研究所 代表)
RSnetworkは、無線式3軸加速度センサーで取得した振動波形を瞬時にサーバーへ転送し、専用ソフトでリアルタイム解析できるシステム。耐震補強の品質確認や構造物のヘルスモニタリング、工事・輸送時の振動評価などに活用されている。
[ 著書 ]
・基礎から学ぶ建築生産(著/文|編集)
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・図解型枠工事(共著)
近年、インフラや建造物の健全性をモニタリングする技術の進化が進んでいます。その中でも、ワイヤレスでリアルタイムに振動を計測できる「RSnetwork Series」は、革新的な技術として注目を集めています。
RSnetworkとは?
「RSnetwork Series」は、小型・軽量・高性能なワイヤレス振動計測システムです。従来の有線式センサーと比較して、配線が不要でワンタッチ接続が可能なため、設置の手間やコストを大幅に削減できます。また、PCやスマートフォン、PDA(携帯情報端末)へリアルタイムでデータを送信し、Excel形式で保存できるなど、優れた使い勝手も魅力です。
従来の有線式のセンサーは高コストでデメリットも多かった

配線不要、小型・軽量・ワイヤレスで従来の問題点を解決!

RSnetworkの主な用途
RSnetworkは、さまざまな分野で活用されています。
1.構造物モニタリング
- ビルや橋梁、住宅、発電所、文化財の振動監視
- 耐震補強の効果検証
2. 輸送モニタリング
- 車両や鉄道、航空機の振動測定
- 運行時の安全性チェック
3. 機械振動モニタリング
- 半導体工場、モーター、エレベーター、重機の振動管理
- 機械の異常検知によるメンテナンス最適化
4. 振動公害の監視・対策
- 工場や建設現場、交通機関、風力発電などの振動管理
- 2台以上のセンサーを用いた振動源の特定
5. 地震モニタリング
- 常時微動から強震までのリアルタイム監視
- 建物やインフラの耐震性能評価
6. 地質調査
- 地盤の振動特性分析
- 地震発生時の動的挙動の解析
RSnetworkの技術構成
RSnetworkは、以下の主要コンポーネントで構成されています。
- ワイヤレス小型3軸加速度センサー「QP-2000」:コンパクトながら高精度な計測を実現。
- 高精度モニタリング対応「RS-MAX24」:さらに精密なデータを取得可能。
- リアルタイム振動計測解析ソフト「RSnetwork(Basic・Standard・Professional)」:PC上でリアルタイム解析。
- モバイルデータ取得・解析ソフト「RSmobile」:スマートフォンやPDAでのデータ取得に対応。


RSnetworkの導入メリット
- コスト削減と設置の容易さ
従来の有線式システムでは、複数の加速度計やデータロガーを長い配線で接続する必要があり、コストが高くなる傾向がありました。RSnetworkはワイヤレス接続のため、配線不要で設置が簡単です。 - リアルタイムデータ取得と多点解析
RSnetworkでは、ワイヤレスで複数の測定点のデータをリアルタイムで取得・解析できます。これにより、精度の高いモニタリングが可能になり、迅速な意思決定が実現します。 - 多様な活用シーンと拡張性
RSnetworkは、建設・インフラ・製造業・輸送業など幅広い分野で活用できます。特に、スマートフォンやタブレット対応により、現場でのデータ確認もスムーズに行えます。
活用事例
事例1.耐震補強効果の確認


事例2.建築物の施工品質確認

事例3.土木構造物のヘルスモニタリング・事例4.建築物の長期ヘルスモニタリング

事例5.工事による周囲への振動影響評価・事例6.建築物の強震測定

RSnetwork導入のメリットと協会加入の意義について
以上のように、RSnetwork Seriesは、コスト削減・リアルタイム解析・設置の容易さを兼ね備えた画期的な振動計測システムです。本技術は、正規会員企業の開発・提供技術であり、業界の課題解決に貢献しています。
本協会では、このRSnetworkをはじめ、業界の最先端技術の普及に努めています。協会の加入者様につきましては、最新技術の導入支援や情報共有などのメリットを享受できます。ぜひ、この機会に協会への参加をご検討いただき、共に日本の社会インフラを守り、安全で持続可能な社会の実現に向けて進んでいければと考えています。